映画制作への協力校として、岡山県のS学園が手を挙げてくれました。
この学校では、生徒たちに映画『ダーティ・ユー』のシナリオを読んでもらい、自由に意見や感想を書いてもらうという取り組みを行ってくれました。読み解く視点を簡単に示したプリントも配布し、生徒一人ひとりが自分の言葉で向き合えるように工夫していただきました。
そして、その感想をもとに、シナリオの原作者である高嶋哲夫氏が、生徒たちと実際に顔を合わせて意見交換を行いました。この交流は、シナリオのブラッシュアップに大きな影響を与える貴重な機会となりました。
原作『ダーティ・ユー』は2003年に初版が発行された小説で、すでに20年以上の歳月が経っています。当時とは社会環境も学校の空気も、子どもたちの価値観も大きく変化しています。だからこそ、今を生きる子どもたちが、シナリオをどう受け止め、どのように感じるかを知ることは、私たち大人には気づけない“心の変化”を映し出す貴重な材料になります。
この取り組みは、のちに「シナリオ・ワークショップ」という形で全国の学校に広がり、映画『ダーティ・ユー』の内容をより深く、より現代に即したものへと導いていく原動力となります。
そして何よりも、子どもたちが映画づくりに**“シナリオの段階から参加する”**という経験自体が、「いじめを考える日プロジェクト」の重要な柱のひとつです。
読む、考える、書く、話す――そのすべてが、子どもたちにとって「いじめについて自分の頭で考える」きっかけとなると、私たちは信じています。
-続く