わからないと、ノートをめくって前にやったところを見る。そして、その通りにやって正解!
いつもその繰り返しで、前を見ないとできないということが続く。ノートを見ることができない試験では、結果が出ないのは当然である。そして、「自分でやったときはできていたのに、やり方を忘れた。」と試験後に言う。
“忘れないためには、覚えない”
これは大原則。覚えないのだから忘れるわけがない。でも、覚えていないと試験ではできないのではないかと思う人もいるだろう。しかし、今まで覚える勉強をしてきて忘れるという体験をしているのなら、覚えることで試験ができないことは明白である。
とは言うものの、いぶき学院の塾生で覚える勉強(丸暗記)をしていて、東京理科大学と立教大学に合格した者がいる。中1に入塾したその子は6年間いぶきの個別指導で学習をした。我々の中では、彼が覚えて試験を受けているということが共通の認識であった。私立中学に合格したその子は、覚える勉強で合格していた。中学に入っても覚える勉強を継続。わからない問題でも、我々が解いた数式を一字一句覚えて答案に書いて正解を得ていた。色々な手を使って、覚える勉強をやめさせようと試みたが、ことごとく失敗。我々の結論は、「いつかそれではできなくなる日が来る。その時に本人が気づくだろう。」だった。ところが、その子は崩れない。ついに高校2年生まで覚える勉強で、クリアしてしまった。かなりの暗記力と努力である。壁にぶち当たったのは高校3年生の時。当時、その子の事を一番真剣に面倒を見ていた講師を「いやだ」と嫌った。その講師は粘り強くその子と会話を続け、ついに考えを改めていくことになる。そして、大学合格となった。
この子のケースは稀で、覚える学習をしていると、大抵その前に平均点を切っていく。早ければ中1の秋にやってくる。高校では三角関数で覚える勉強をしてできなくなるケースは良くあることだ。覚える勉強はその時はできるということが特徴なので、後になって「忘れた」とか、新しい単元が「わからない」ということで発覚する。
では、どうやって勉強するのか
①自分の言葉で言える(説明できる・書ける)ようにする・・・教科書と一致していなくていい。模範解答と一致していなくていい。「なぜ」、「なに」、「どうして」と常に考えて、それを説明できるようにしていく。何かを見てその通りにやって「できた!」では身についたことにはならない。何も見ないで言えればOK。
②学習の目的を自分の中で明確にする・・・忘れないためではなく、混乱しないようにするためである。いきなり教科書の理解や、問題演習をするのではない。
③体系的にそれを理解していく。体系的というのは、物事を直列又は並列の関係で結びつけていきながら、関連付けていくことである。
覚えるということを丸暗記だとすると、自分の言葉で言えるということは関連付、理由づけをするということである。