プロジェクトが動き出して間もなく、私はこの構想がすでに具体的な段階まで進んでいたことを知ります。
シナリオはすでに書き上がっており、監督も決まっていました。実はこの映画の構想はずっと前からあり、原作は高嶋哲夫先生の小説『ダーティ・ユー』です。
この物語の主人公は、アメリカから帰国した少年・ユー。
彼は学校でいじめに苦しむ少年を助け、かばいます。ユーの口から発せられる「いじめは犯罪なんだ」という言葉は、強く、真っ直ぐで、心を打ちます。しかし同時に、それはどこか虚しく響く――そんな現実をも描いた作品です。
高嶋先生はこの物語を、映画として子どもたちに届けたいと強く願っていました。
「これは商業映画ではない、自主製作映画だ」と先生は何度も言います。
利益を求めるのではなく、子どもたちの心を動かし、社会を動かす映画にしたい。その思いに、私は深く共感しました。
最初の打ち合わせは、高嶋先生、監督のSさん、知人のAさん、そして私の4人。
初対面ということで自己紹介から始まり、映画化に至るまでの経緯を聞いて、その日は終了となりました。
その後、私たちはオンラインで2週間に1度のペースで打ち合わせを重ねていくことになります。
メンバーも増え、脚本家のNさん、出版業のHさん、教育系業界紙のKさんが加わり、計7人に。立場も経歴も異なるメンバーが、1つの思いでつながり始めました。
ここから、映画づくりと「いじめを考える日プロジェクト」の歩みが本格化していきます。
— 続く