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都立高校入試の種類
都立高校の入試は「推薦に基づく入試」(以下推薦入試)と「学力検査による入試」(以下一般入試)があります。
推薦入試での合否は一部の高校を除いて、〔調査書・個人面接・集団討論・小論文又は作文〕で決定します。
一般入試の合否は、〔調査書・学力検査〕で決定します。
都立高校の推薦入試と私立高校の推薦入試の違い
都立高校の推薦入試と、私立高校の推薦入試(単願)の異なるところは、私立高校は合格の“基準”があり、都立高校は合格の“基準”が無いことです。
ということは、私立高校は“基準”を満たしている子は原則として全員合格となりますが、都立高校はやってみないとわからないということです。おおよそ、私立の推薦入試は3人受けたら3人合格。都立の推薦入試は3人受けたら1人だけ合格と思ってください。
私立高校の推薦入試で注意することが2つあります。1つは“基準”が合格基準ではなく、受験基準の学校がある事です。上位の学校はそのケースがあります。“基準”を満たしている子たちだけが推薦入試を受けて、その中から合否を判定することになります。判定方法は内申と面接等の場合も有りますし、学力検査を行うことも有ります。いずれにせよ『絶対合格』ではありません。もう1つは、必ず事前に相談をしていないと基本的に推薦入試が受けられません。東京都の場合は12/15より各中学校の先生が私立校へ連絡を取り学校間でやり取りをすることになります。私立の推薦入試は合格したら他の高校へは行かないという約束の下での受験ですから、合格の確率が当然高くなるのです。
都立高校の推薦入試
都立高校の場合は原則として希望者は、事前相談無しでどの都立高校の推薦入試でも受験することができます。勿論自分の内申点に見合った高校の学校を受験することになると思います。誰でも受けられますが、調査書(中学校の成績)が良い人が断然優位と言うことになります。
ただし、個人面接、集団討論、論文(作文)が都立の推薦入試に義務付けられ多結果、内申点が下位の子が合格するという逆転現象も起きています。しっかり準備をして行けば、ひょっとしたら一般受験ではぎりぎりの子が推薦入試で合格してしまうということが起きるかもしれません。現にいぶき学院でも何人か逆転で合格した子がいます。
私立高校の推薦入試はほぼ全員合格となりますが、都立高校は半数以上の受験生が不合格となります。しかし、たとえ不合格となっても、一般入試でもう一度チャンスが巡ってきますので、不合格となっても合格への道は閉ざされたわけではありません。むしろ、一般入試の方が合格しやすくなります。あきらめる必要は全くありません。
私立推薦入試の落とし穴
私立高校へ合格しようとするならば、間違いなく推薦入試の方が合格確率は高くなります。一般入試は何らかの事情が無い限り避けるべきです。
私立高校の推薦入試は1/22頃で早ければ当日に合格発表があります。すると、都立高校の一般受験日2/24と比べて1ヶ月以上差があります。
高校受験生の学力が一番伸びるのは、1月と2月です。1月の時点で学力差のない受験生でも、私立推薦で合格してしまった子と、都立一般受験を目指す子では圧倒的に差がつくケースがたくさんあります。ですから大切なのは、合格した後なりです。私立高校によっては2/10からの一般受験の日に、推薦入試合格者も試験を受けさせる学校も有りますので、少なくとも2/10からの一般受験日までは、一般受験の子に負けないように勉強をすることをお勧めします。
それが無い学校は、高校の勉強の先取りをすることをお勧めします。既に次の大学受験、進学、進級、高校卒業に目標を切り替えて、「早く合格した」という利点を生かして学習すると良いでしょう。いぶき学院では推薦合格者は、受験勉強を続けるか高校準備の学習に切り替えるかを選ぶことができます。目標を切り替えることで今後の高校生活が別物になっていきます。
さて、最後に一番問題があるケースです。それは、私立高校の合格基準に達した段階、つまり12月初旬の中学校の面談で合格基準に達しているかどうかがわかりますから、その時点で合格基準に達していると「ほぼ合格確定」であるので、勉強を止めたり緩めたりしてしまうことです。いぶき学院では、「合格通知を手にするまでは合格ではない」と受験生に伝え、保護者様にもご理解いただいております。その結果20年間で、その時点でいぶき学院をやめた子は1人だけです。いや、1人出てしまったことに反省しております。12月の段階で区立中学校の授業がどうなっているかご存知でしょうか。11月の最後の定期試験で、教科書の最後まで(全範囲)を試験範囲としている学校はありません。つまり、まだ中学校で学習すべき単元が終わっていない段階で、勉強を止めてしまうことになります。高校の勉強は中学校の勉強がわかっていることが前提で行われます。最後まで、きっちり中学校でやるべきこと、身に付けるべき内容はやっておく必要があります。
都立高校の推薦入試は受けるべきか一般入試だけにすべきか?
「2度のチャンスがあるのなら受けてみる価値はある?」
「ダメモトで受けて、不合格となっても一般受験をすればいい?」
「成績上位者しか合格できないのなら受けるだけ無駄だ?」
はたして、どうでしょうか。確かに2度のチャンスはありますがリスクがあります。
1つは不合格となった時のショックです。「初めから期待していないので不合格となっても気にしない」と言っている子、「受からない」と思って受けた子でも「ひょっとしたら受かるかもしれない」と期待してしまうのが人の常です。宝くじは絶対に当たらないと思って買っても、買った人は「ひょっとしたら・・・」と期待しますよね。当たらないことがわかっている言いながら、外れると少し落ち込んだりします。逆転現象(内申点下位の子が上位の子を逆転する)が起こっているため、なおさら上位の子は不合格のショックは大きくなります。
2つ目は、逆転現象があるため下位の子も受験したくもなります。2度のチャンスもあるし、ダメモトで受ければいいのかもしれません。しかし、都立の推薦入試は2日間。しかも、個人面接と集団討論、そして小論文があるために、その準備、練習をすることになります。さすがに何もせずに受けるわけにはいきません。いぶき学院では事前に個人面談で聞かれそうなことを考えさせて、面接練習を1時間から2時間、集団討論を2時間ほど練習します。小論文も添削等を行います。準備と練習で、この大切な時期(1番学力が伸びる時期)に約1週間時間を取られます。さらに2日間の推薦入試、そして受験後発表まで6日間かかります。準備、練習、本番があり、そして発表までの間、勉強を一生懸命する気になれるでしょうか。「不合格したと思ってやれ」と言っても、推薦入試を受けずに一般入試だけにかけている受験生とは気持ちの上で差がついて当然です。
私は現在の入試システムで推薦入試を受けることはデメリットが多すぎると考えています。試験内容を簡略化する。1日で試験をする。発表は翌日などのシステム変更をしなければ、あまりにも酷な入試です。
結論は「2度チャンスがある」とか「受からないのは分かっているけど」とか「とにかく早く合格して楽になりたい(遊びたい)」といういい加減な気持ちならばやめた方がいいと思います。ある程度の内申点、面接、討論、論文が得意という子で、「絶対に合格する」という強い気持ちがあるならば受験してください。
高校は全員卒業できない
昔は「合格したらお祝い」。だったかもしれません。それは、ほぼ卒業できること、その先の進路が開けていることがあったからです。合格→卒業→進学(就職)という流れがほぼ確定だったからです。
しかし、現代ではそれは大きな間違いです。合格しても卒業できるとは限りませんし、進学や就職できるとは限りません。
合格したら、あるいは合格する前から、卒業と卒業後の進路について考えておくことです。本当に自分の未来のためにこの高校でいいのか。そして、進学や就職はどうしたいのか。そのために、高校に入ったらどんなことをするのか、勉強はどうするのか。
だから、目の前の合格で先が見えなくなることが一番問題なのです。3年後の卒業と進学、就職を見据えて高校受験をすることです。